響け!ユーフォニアム「心響プロジェクター」/高坂麗奈(CV:安済知佳)
「再生時間0:00~0:30」
君との物語。
その物語とは、さて、どこから語り始めればよいだろうか。
君との物語。
その物語とは、はて、どこが始まりと言えるのだろうか。
君との物語。
君の物語。
君の中の、僕の物語。
君が紡いだ物語。
君が紡いでくれた、君と僕との物語。
その物語の中で、僕は怪訝に不可思議に踊り続ける。
その物語の中で、僕は僕を忘れて、君の想いの中で狂い咲き散り果て続ける。
生まれて来てくれて、ありがとう。
同じ時代の同じ世代の同じ国の、同じ空間・同じ場所にいてくれて、本当にどうもありがとう。
君がいたから、僕がいて。
君が僕を見つけてくれたから、僕は初めて、僕を感じ、僕を知ることが出来て。
もう、泣かない。
もう、うじうじしない。
もう、くよくよしない。
もう、自分を否定しない。
だから、君も。
こんな僕を好きと言ってくれて、ありがとう。
君がいたから、僕がいて。
君が有ったから、僕も有って。
さあ、始めようか。
さあ、そしてまた、粉々に散り咲こうか。
君に会うために。
君を愛すために。
僕のために。
僕を殺さないために。
僕を再び、生き返らせるために。
音楽は僕たちの首を掴み、死にそうになるまで絞め続ける。
サウンドは僕たちの瞳を、光りを信じられなくなるまで夜通しぶっ刺し続ける。
音楽を聴いて苦しんで、苦しんで苦しんで苦しんで、死ぬ間際まで行ったその先に、
ほんの僅かに光る薄汚れた嘘っぽい救いを、感じ、それを信じいこうか。
君はまだ、死ぬべきではないと僕は思うから。
僕もまた、まだ生きたいと思うから。
愛しているよ、大丈夫。
さあ一度、泣くのを止めて。
世界で唯一の君の美しい頬に、暗闇を塗るのを止めようか。
愛しているよ、大丈夫。
ごめんね。
ありがとう。
「再生時間0:30~0:44」
深夜真夜中に、君からのラインに叩き起こされて。
大量の睡眠薬画像。
弱々しくか細く薄白い君の腕から流れ散る、赤黒い鮮烈なる血の涙。
どうしようもない世界で、君は泣き疲れ枯れ続け。
救いのない絶望なる世界で、君はお気に入りのヌイグルミを抱え呻き喚き続け。
いつ、死ねるのかな。
いつ、終わらせることが出来るのかな。
初めから、幸せになること叶わず。
生まれ出でてからこれまで、愛されることは知らず。
誰かを憎むことなど、とうに終えて。
今はただ、自傷し続ける淡き君。
憎い。
何よりもどれよりも、自分自身が、一番憎い殺したい死ね。
憎い。
それでもなおどれでもなお、未だ誰かに愛されたいと思ってしまう自分が、
終わりなく果てしなく救いなくかつてなく、狂おしいほど愛悲しい死ね死ね死ね。
世界をどんどん、狭めていって。
世の中を・社会を、どんどんと無きものにしていって。
もう何も、知りたくはない。
もう何も、触れたくはない。
静かにしてお願い黙れ消えろ。
誰も私に、気づかないで永遠に。
誰も私に、触れようとしないで絶対に。
静かに意味なく愚かに枯れ散ちゆく、ただそれだけを淡く望んで。
人を呪い世を呪い己を呪い、そして無様に死んでいく。
そうなりたいそうしたい。
そう想い、誰にも知られずにそしてこのまま泡のように消えてなくなりたい。
それだけが、そう想うことだけが、私の「救い」なのだから。
その救いを、もう誰も、邪魔しないで。
嘘。
お願い。
助けて。
「再生時間0:44~曲の終わりまで」
残酷に鮮やかに鮮明に。
そう。
ははっ。
にゃははっ。
残酷に鮮やかに鮮明に。
残酷に鮮やかに鮮明に。
残酷に鮮やかに鮮明に。
君がいるから、僕がいて。
かけがえのない代わりがいない、君唯一のその久遠無垢なる君の瞳があって、
僕が初めて、ここにいて。
だから、もう、泣かないで。
だから、もう、死ぬなんて言わないでお願いお願い。
誰にどう思われようが、誰にどう見られようが、関係なくて。
世界は僕だけのものであり、世界は君だけのものなのだから。
残酷に鮮やかに鮮明に。
そう。
ははっ。
にゃはは。
残酷に鮮やかに鮮明に。
残酷に鮮やかに鮮明に。
残酷に鮮やかに鮮明に。
何も無い世界で、共に終わらせ合い続けよう。
色彩も音も、意味も価値も歴史もない虚構な世界で、共に赦し、共に愛し続けよう。
生の中に死を感じて。
死の中に、ただ唯一の純潔なる紅を感じて。
あたたかい。
愛されたい。
愛したい。
あたたかい。
明日を忘れて。
希望を捨てて。
未来を失くして。
今はただ、今だけに有り続け。
今はただ今を視て、今を知ることだけに自分たちを捧げ続けて。
悪夢祓うこと、叶わず。
絶望から逃れること、叶わず。
それでも。
それなら。
それ故に。
ずっと。
だから。
いつまでも。
抱きしめ合い、褒め合い、赦し愛し続けよう。
ありがとう。
ごめんね。
そして。
さようなら。
自殺未遂美少女に捧ぐ、響け!ユーフォニアム「心響プロジェクター」音楽解析、終。